母が5歳くらいのときのことである。
嵯峨野に別荘があり、そこで子供たち数人が集まりわいわいと楽しく遊びまわっていたのだそうだ。
別荘の二階からの景色は、前に電車が通り、線路際に1本柳が風になびいている。
子供たちは、夜になると声を潜めて、二階の窓からその不思議な光景をみていた。
8時にもなると、周りには何も無く、闇夜になり、すると柳の木の下に「うどん・そば」と書いた屋台が「ぽぁ~」と、どこからともなく立ち、
暖簾が揺れるその隙間から、渋皮の赤い団扇で「パタパタ」と仰いでいる姿が見えるんだよ。
麺を湯でている鍋の蓋を開けると、「ふぁ~」と湯けむりが昇るのが見え、
そこへ電車が遠くから汽笛を「ピィーピィー」と鳴らしながら、だんだんと近づいてくる。
柳の木に差し掛かろとしたその瞬間、屋台は「パッ」と消えてしまい、電車は夜の線路を「カタカタ」と音をたてながら遠のいていく。
後の赤い尾灯が見えなくなってきたころ、再び柳の木の横に「ぽぁ~」屋台がまた立つんだよ。
おじいちゃんに話すと、タヌキがだましているんだと言っていたそうです。
よほど母にとっても不思議な出来事だったのでしょう。
私たちが子供の頃、幾度となく話してくれ、そのたびに想像の世界へと導かれていました。
人から話を聞き、想像する。本を読み頭で映像を描く。自分の未来を創造する。
想像する力は、とても大切なもので、人間に与えられた才能であり、思い描けるからこそ知恵が湧くのである。
知らない間に楽しみながら教育をしてくれていたのですね・・・まだまだ続きはあります・・お楽しみに!!
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